歯科衛生士の労働環境

歯科衛生士が行う3つの仕事

現在進行形で数を増やし続けている歯科医院に欠かすことの出来ない歯科衛生士は、結婚・出産後も職場復帰しやすい一生モノの国家資格として、若い女性に人気の職業です。しかし、実際のところはどうなのでしょうか。ここでは、歯科衛生士がどれくらい給料を稼げる職業なのか?一生食っていくに困らないほどの資格なのか?を、データを基に検証していきたいと思います。

そもそも歯科衛生士とは?

厚生労働省の平成27年賃金構造基本統計調査によると、歯科衛生士の平均年収は約353万円だそうです。2015年に国税庁が発表した民間給与実態統計調査では、歯科衛生士以外も含めた日本人労働者全体の平均年収が約415万と発表されているので、やや水準を下回っていることが分かります。ただし、男女別に平均年収を見てみると、男性の平均年収が514万円・女性の平均年収が272万であることから、歯科衛生士は、女性向けの職業者の中では比較的給与に恵まれた職業であると言えるでしょう。

仕事1

歯科衛生士の平均年令は33.2歳です。グラフ①によると(出典:平成27年賃金構造基本統計調査)、歯科衛生士の平均給与は、ある程度年齢に比例して増加していくことが分かります。40代の平均給与が最も高くなっています。但し、最近では育児を終えたミセス層がセカンドキャリアとして歯科衛生士専門学校に入学するケースもあるそうです。また、人生経験・臨床経験ともに豊富なキャリアを持った、60歳以上のシルバー衛生士も存在します。

仕事2

グラフ②によると(出典:平成27年賃金構造基本統計調査)、歯科衛生士の平均初任給(入社1年目の平均月収)は約20万4000円、新卒1年目の平均年収は約267万円となっています。基本的には勤続年数と共に給料も上昇していき、5~9年目にキャリアのピークを迎えるようです。厚生労働省の発表によると、2014年時点の女性の初婚平均年齢は29.4歳、同じく初産平均年齢は30.4歳となっています。歯科衛生士の平均勤続年数が6.1年であることを考えると、21歳で専門学校を卒業して歯科衛生士としてのキャリアをスタートさせた後に、30歳前後で結婚・出産退職する人も少なくなさそうです。

仕事3

グラフ③を見て分かるとおり(出典:平成27年賃金構造基本統計調査)、「10~99人<100人~999人<1000人以上」とった風に、企業の規模が大きくなるにつれて僅かながら平均年収も上昇することが分かります。ここでいう100人以上の従業員が在籍する企業とは、歯科以外の診療科目にも対応した、いわゆる「総合病院」に該当する場合が多いようです。大抵の総合病院は法人化しているため、単純に給与が高いだけでなく、個人経営の診療所に比べて社会保険完備などの福利厚生が整っているという点も見逃せません。

歯科衛生士のメリット

表を見ると(出典:平成27年 歯科衛生士の勤務実態調査 報告書)、全体の60%以上の歯科衛生士が、現在の給料に不満なく働けていることが分かります。特に、企業や病院・大病院に勤務する人の満足度が高くなっているようです。これは前項で触れた通り、大企業に勤務する歯科衛生士の給料が、診療所に勤務している歯科衛生士のものより高いことや、福利厚生が充実していることが影響していると考えられます。その反面で、診療所に勤務する歯科衛生士の約1/3以上が現在の給料に不満を持ったまま働いていることが分かりました。賞与(ボーナス)や歩合給・残業代が出るor出ない院はクリニックによって異なるので、「月給は高いのにボーナスが出ない」・「どれだけ残業をしても残業代が給料に反映されない」など、ミスマッチによる早期退職を避けるためにも、応募前に求人要項はキチンとチェックするようにしましょう。

歯科衛生士のデメリット

結論から述べると、歯科衛生士で年収1,000万円を稼ぐことはハッキリ言ってほぼ不可能です。現在の(2016年6月16日時点)当サイトでで最も高額な給与は歯科衛生士求人は月給340,000円なので、「340,000×12=4,080,000円+賞与」、つまり400万円+賞与が想定年収になります。もし貴方が歯科衛生士として更なるキャリアアップを考えているのであれば、担当制と歩合給を導入しているクリニックに就職して、自分が担当する患者にTBIやPMTCなど保険適用外の自費診療をバリバリこなす必要があるでしょう。勤務時間外に副業として歯科衛生士セミナーの講師をする、という方法もあります。但し、Wワークを禁止しているクリニックもあるので注意が必要です。

まとめ

歯科衛生士という職業は、自分ひとりで生活をする上で不自由しない程度の給料が手に入る職業ではありますが、決して世間一般で言うところの「勝ち組」に該当する職業ではないということが分かりました。それでも貴方が歯科衛生士として社会的に十分な報酬を受け取りたいのであれば、①全国的に有名な総合病院など大企業に勤務する②歩合給が発生するクリニックで自費メンテナンスに取り組む、の2つの選択肢のうちどちらかを用意する必要があります。どちらにせよ、先ずは賞与・歩合給・残業代など勤務候補先の募集要項をしっかりとチェックすることが大切です。