歯科衛生士の年収・給料

フリーランス歯科衛生士になるには?気になる給料相場も!

ある程度のキャリアを積んだ歯科衛生士が、臨床現場を離れてセミナー講師をやったり、チーフDHとして教育に専念しながら、いくつもの歯科医院を出入りしたりと、特別な働き方をしているDHがいることはご存知かと思います。ひとつの歯科医院に勤務するだけでなく、強みを生かして柔軟な働き方をするフリーランス歯科衛生士について、歯科求人コンサルタントに詳しく聞いてみました。

フリーランス歯科衛生士って?

フリーランスって何?

フリーランスは、ざっくりいうと以下のように定義されているようです。
・特定の組織やグループに属さずに個人で動いている
・能力やスキルを発揮・提供することを価値としている
一般的にはSOHOなど、個人事業主をさす言葉のようですね。業界問わず、経験を積んでスキルを身につけたら、独立してフリーランスとして働くという流れが多いようです。フリーランスを証明する資格は特にないので、上記の条件を満たしたら、“自称”でもフリーランスになったと言えます。

フリーランス歯科衛生士の契約形態は?

フリーランスについては、雇用契約ではなく業務委託契約になることが一般的なようです。自身の発揮できるスキルに応じて、提供する価値と条件を書面化し、業務委託契約を結ぶことでフリーランス歯科衛生士として働くことができます。ただ明確な定義はなく、非常勤スタッフとして雇用契約を結ぶ場合もありますので、副業OKの歯科医院でダブルワークするなどの働き方も、広義でいえばフリーランスとして働いていると言えそうです。

フリーランス歯科衛生士のパイオニア、土屋和子さん

歯科衛生士であれば、一度は耳にした名前かもしれません。日本でフリーランス歯科衛生士という文化が定着する以前に、フリーランス歯科衛生士としてのキャリアを築かれた土屋和子さんは先駆者としてとても有名です。一通りの仕事ができるようになったとき、キャリアに疑問を感じて、日本より進んでいるといわれているアメリカの歯科医療現場へ足を運び、ライフステージにとらわれず歯科衛生士としての仕事を続ける働き方を考え、フリーランスとしてのキャリアを選ばれたようです。
歯科衛生士としての働き口を確保するために、歯科医師のセミナーに参加したり、歯科医師向けの雑誌に掲載されている先生に連絡を取るなどの行動を起こされたようです。今よりもネットが普及していない不利な時代からフリーランスとして働かれていた土屋和子さんの行動力はとても参考になると思います。

フリーランス歯科衛生士の仕事内容は?

臨床現場での歯科衛生士教育係

歯科衛生士として一流のスキルを有する方がフリーになることが多いため、新人スタッフのお手本になるよう率先して臨床現場にでている方も多いようです。予防メンテナンス業務においては、患者様とのコミュニケーション方法や、診療機材の使い方、細かくいうと角度や深さなど、実践を通じて指導していることが多いと感じます。インプラントオペ等のアシスト業務においては、いかに準備段階からオペ終了までスムーズに実施するか、気の遣うポイントがとても細かいように感じます。実際に手を動かす様子は、新人DHから尊敬の眼差しでみられることは間違いなく、院長先生よりも信頼を得ていることもあるようです。

医院の経営力強化

多くの歯科医院を見てきた経験から客観的なアドバイスができるフリーランス歯科衛生士は多いように感じます。特に予防を軸にした診療スタイルの確立による定期健診率の向上、審美コンサルによる自費誘導率の向上など、コンサルタント的な働き方をしているフリーランス歯科衛生士もいます。ノウハウはもちろんですが、自費につなげるトークマニュアルや、わかりやすい資料等、ツールも持ち合わせていると、よりコンサルティング力の強いフリーランス歯科衛生士として契約を結びやすくなると思います。
また、院長と現場スタッフの橋渡し役としての依頼もあります。歯科医院は閉鎖的な空間なので、どうしても多少の人間関係のトラブルがあるように思います。そこで、現場の意見を代弁する歯科衛生士として間に入る役割はとても重宝され、医療現場がスムーズにまわるようになるととても感謝されます。

講演・執筆活動

歯科関係の勉強会やイベントに講師として声がかかったり、歯科業界専門誌に寄稿することで収入を得ているフリーランス歯科衛生士もいます。人前で話すことが得意だったり、文章を書くのが好きなのであれば、露出度を高めることでさらに有利に仕事を進められる可能性が高くなるのでおすすめです。

フリーランス歯科衛生士の給料相場はいくら?

臨床現場の給料相場

・現場スタッフとして勤務する場合
時給換算:2,000円~5,000円
日給換算:15,000円~40,000円
1医院では月間で10~15万円程度が目安。
地域格差はありますが、おおよそ上記の金額が設定されているようです。
単価が高く設定される場合には、週1勤務などスポットでのニーズに応える形が多いため、1つの勤務先で高給を、という訳にはいかないようです。ここは安定している歯科衛生士とは違うフリーランスの宿命と言えそうですね。

コンサル中心の給料相場

・業務委託契約の場合
基本契約料5~10万円/月+貢献した医業収入の増加分×成果報酬(%)
フリーランス歯科衛生士は、経営コンサルタントではないため厳密には区別されますが、コンサルとして契約する場合には、増加した医業収入に対するフィーをもらうことが多いようです。また、歯科衛生士ならではの働き方としては、現場スタッフとして入り、基本給をもらいながら、成果報酬分も同時にもらう契約スタイルもあるようです。なかには月収で100万円を超えてくるなど、フリーランスならではの収入を得ている方もいるようです。

講演・執筆活動の給料相場

1講演あたり:無料~10万円/回
1記事あたり:無料~2万円/記事
知名度によって開きがあり、もらえる収入の幅が広い分野と言えます。自身のブランディングの場と考えれば無料で行うこともありますし、実績が積まれると依頼単価が上がってくる分野と言えます。

フリーランス歯科衛生士の求人は?

求人サイトに掲載されているのはごく一部

フリーランス歯科衛生士の求人を探そうとすると苦労すると思います。それは医院側からすると、フリーランスだから雇用したいというわけではなく、いい歯科衛生士がいれば採用したいという、スタンスの違いがあるからです。求人サイトを探しても、フリーランスの歯科衛生士が来ていますというPRコメントはあっても、募集していますとは書いていません。一方で、実際に求人に応募し、フリーランスとして働いているのですが、と話を切り出すと、募集条件とさえあっていれば、受け入れてもらえることが多いと思います。

フリーランスOK求人の探し方

効率的に勤務先を探すにはコツがあります。
・募集している給与条件が高い
・新人が多く在籍している
・歯科衛生士が少ない
などが当てはまると思います。
給与条件が高いということは、そもそも歯科衛生士にそれだけの価値を見出している証明なので、フリーランスを受け入れてもらいやすい土壌だといえます。また、新人が多く在籍している場合には、人材の育成面で苦労されている場合も多いので、教育係となれるベテランを望む声を多く聞きます。歯科衛生士が少ない、というのは一見すると矛盾しているようですが、1人で現場をまわせるなど、歯科衛生士不足をマンパワーで補える点、頼れる先輩の存在が採用に有利に働くなどの理由から、実は積極採用につながることもある隠れ求人と言えます。

フリーランス歯科衛生士になる準備

自分のやりたいこと、強みを整理する

フリーランス歯科衛生士として活躍するうえで、自分の適性があるほうが長続きしやすく、評価も得やすいと思います。現役時代から教えるのが得意だったのか、やっぱり患者さんと向き合っていたいか、学会で発表するなど目立つことが好きだった、などなど、ご自身の活動を振り返ってみるとおのずと適性が見えてくると思います。

名刺を作る

フリーランス歯科衛生士となったら個人勝負です。まずは名前を知ってもらわなくては始まりません。そこで会社勤めの社会人では一般的な自身の名刺を作成されることをおすすめします。名前だけでなく、保有している認定資格や、執筆の実績、イラスト等を載せておくと、より印象に残りやすいと思います。

人脈を整理する、人脈を広げる

勤務先の院長先生が参加されている学会、卒業した学校の先輩、知人が勤めている勤務先など、極力多くの人に声をかけ、仕事のキッカケをつくることが大切となります。また、フリーランス歯科衛生士として実際に働いている人の生の声を聴くことも参考になると思います。

フリーランス歯科衛生士まとめ

フリーランス歯科衛生士になることは、条件さえ満たせば誰にでもなれることがわかりました。
一方で、契約を結んで安定した給料を得るには、実績を積み上げる必要がある厳しい世界だということもわかりました。
臨床現場、コンサル、講演・執筆活動など様々なフリーランス歯科衛生士の活躍の場がありますが、基礎が伴ってこそ成り立つ働き方と言えます。現在、歯科医院に勤務中の歯科衛生士の方は、しっかりと実績を積み上げて、将来のキャリアの選択肢の1つとして、フリーランス歯科衛生士としての道を考えてみるのもいいかもしれません。

以上、歯科求人コンサルタントに詳しく聞いたフリーランス歯科衛生士まとめでした。

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